なぜ工学研究?

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なぜ工学研究?-工学と医学の接点とは

形成外科は身体の形を整えることを目的にします。言ってみれば身体を対象とする彫刻家であり、なおかつ建築家でもあります。
これは比喩ではありません。実際に彫刻家が木や大理石を削るのと同じように骨や軟骨を加工しますし、大工さんが柱や壁を組み合わせるのと同じように骨を分解し、組み替えます。

例えば・・・
(例1)胸のかたち の修正

うまれつき胸郭の中央部が陥没している方に対して修正術を行います。
修正術においては、陥没した胸郭の中央部に金属製の矯正器具を埋め込むことにより、凹んだ部分を平坦な形に治します。

当科における漏斗胸治療は本邦でトップレベルにあり、朝日新聞に記事が紹介されました(平成24年11月27日)
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(例2)耳作り

事故のため耳をなくされた方や、まれに見られる生まれつき耳のない方に対して手術を行い、耳を作ります。新しい耳は、肋軟骨(あばら骨の柔らかい部分)を彫刻してつくります(成育医療センター形成外科 金子剛 先生のご厚意による)。

(例3)骨の固定

交通事故などで顔の骨を骨折した場合、ずれてしまった骨を正しい位置にもどした上、ネジとプレートを用いて固定します。

このように形成外科医は、体の形を整える診療科です。
美しく手術を行うためには、緻密な計画をたてた上で、 それら一つ一つを着実に達成することが必要です。

具体的に言うと

  1. 「何が美しいのか」を知ること(目標の設定)
  2. どのように手術を行えば、目的とする形状を得られるのか考えること(手法の選択)。
  3. 結果を予測し、方法の可否を検証すること
ことが必要です。

このためにわれわれは、各種のプロジェクトに取り組んでいます。
現在取り組んでいるプロジェクトの中で主たるものを紹介します。

  1. 人は「美」をどのように認識するのか を科学的に分析すること
  2. 身体を構成する各組織の硬さや可塑性などを知ること
  3. 手術を行うと、身体の形がどのように変化するのかを予測すること

このように、工学的な知識を応用してさまざまな研究を行うことは、手術において良好な結果を得る上で非常に役にたちます。医学―工学 学際研究はまだ新しい研究分野ですが、極めて現実的で臨床に近い研究です。

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香川大学 形成外科 医学-工学 研究グループ

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